受験と教育の羅針盤

教育に関連するあらゆる場面の道標


今では懐かしい「雷おやじ」


現在では「優しいお父さん」「大好きなお父さん」「友達みたいなお父さん」と
子どもから言われる父親が増えてきたように思います。
昔は「地震・雷・火事・親父」と言って、父親は「怖いものの象徴」でしたが、
今となっては懐かしい限りです。

ずいぶん前のエピソードになりますが、
魚市場で働いているお父さんは、娘が夜遅くまで起きていると、
とてもひどく怒りだすというものです。
子どもが勉強をしないで、怒られえることはよくありますが、
このお父さんは、勉強を夜遅くまでしていても怒り出すのです。
「早く寝ろ!」と怒鳴って、娘を叱りつけます。
朝のとても早い仕事をされているので、お父さん自身も早く寝たいのでしょうが、
就寝時間は夜の9時と決められ、お母さんも一緒に寝なければなりません。
どんなに遅くても10時が限界だったそうです。

一人娘が小学6年生になると、中学受験を意識するようになりました。
進学したい中学校ができて、受験勉強に頑張ろうと決意を固めます。
夜8時半ぐらいに塾から帰宅して、ご飯を軽く食べて、塾の復習をすると、
あっという間に10時を過ぎてしまいます。
10時を過ぎても、娘が勉強を続けていると、お父さんが娘の部屋にやってきて、
「いつまで起きてるつもりか!早く寝ろ!」と、娘が布団の中に入るまで見張っています。

娘は、行きたい中学校に合格したい。そのためには受験のための勉強をしなければならない。
夜10時に寝ているようでは、とてもレベルの高い中学校に合格することはできない。
そこで娘は、お母さんと相談して、お父さんが寝るまでは寝たふりをする。
お父さんが寝付くと、お母さんがそのことを教えに娘の部屋に来て起こしてくれる。
夜11時を過ぎてから受験勉強を再開して、夜中の1時まで勉強を続けます。
次の日は遅くても朝7時には起きないと、学校に間に合いません。
小学生にとっては決して十分とは言えない睡眠時間の毎日でした。

中学受験をすることを知っていながら、お父さんもお父さんですが、
娘の根性には頭が下がる思いがしました。

結果、見事に第一志望校に合格しました。
そして、そのことに一番喜んだのがお父さんだったと、笑いながらお母さんが教えてくれました。
やっぱり娘のことは可愛いんだなと、少しほっこりとしましたが、
「だったら、まともに受験勉強をさせてやれよ!」と心の中でひっそりと思いました。


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